驚くなかれ、人間はなんと石器時代から男女とも除毛していました
7000年前のエジプト王朝時代は、貴族たちが顔をより美しく見せる為、
そして古代ギリシャ時代には身分の高さを表す為にヒゲ・体毛を剃りました。
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理容師による髭剃りは、江戸時代から明治にかけて広まりました。
当時、理髪業に従事する人を【髪結い】と呼び、おいらんなどの女性の髪を手がける
髪結いさんが活躍し始めました。
主に遊郭(遊女は上得意だった)や顧客の家を訪問し、美しく髪を結ったり、
お肌のケア(産毛・ムダ毛の処理など)や、耳掃除をしたのが
職業的な理容師によるお顔剃りの始まりのようです。
昔と変わらず今でも芸妓&舞妓さんは3週間に1度はお顔剃りをして、
美しいお肌を保っているそうです。
★このように《理容師によるシェービング》はとっても歴史ある、日本独自の
スキンケア技術なのです♪
ところでみなさんは【理容師】と【美容師】の違いをご存知ですか?
実は、床屋・理容院は「理容師法」、美容院は「美容師法」という
全く別の法律で管理されており、法律的にも別々の職業として
定められているのです。二つの法律はかなり似通った内容ですが、
決定的な違いは「顔剃り」の有無。顔剃りを行うには理容師の免許が必須で、
なんと美容院やエステで理容師以外が顔剃りを行うと
【法律違反】になってしまうのです!
また、エステサロンなどで行っている『ソフトシェービング』は、
電気シェーバーを使って行われておりますが、産毛が残りがちな場合も多く
理容師の行う本当のシェービングとはかなりの差がありますので
ご注意くださいませ。
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日本では、剃刀(カミソリ)は552年(日本書紀による。
元興寺縁起では538年)に百済の聖明王の使いで訪れた使者が
欽明天皇に金銅の釈迦如来像や経典、仏具などを献上し
(仏教伝来の始まり)、それと共に剃刀も神聖な法具の一つとして
日本に伝わったと言われています。
当時はとても高価で一般には使われていませんでした。
日本の鍛冶職人は、西洋の刃物とは別格の美しさと切れ味の良さで
賞賛される日本刀を作る素晴らしい技術を持っていました。
そしてその技術から生まれた『日本剃刀』は実に、
1450年以上もの歳月を掛け進化し、現在に至ります。
それゆえ肌を傷めず人間の髭(うぶ毛)を剃る道具としては
他の追従を許さない美しさと機能性を兼ね備えた道具なのです。
しかし、とてもデリケートで手入れが大変な一面もあります。
現在は日本剃刀を作れる職人さんも、使う理容師も減少し
多くの理容師が一般的に「レザー」と言われる替刃式を使っています。
現在は日本剃刀に近い切れ味の物や、ガードが付いたものも開発され
大きさや形も多様化し、まさに時代とともに進化しています。
替刃は切れ味が落ちない上、衛生管理がとても簡単なので、
お客様にとっても、安全安心快適な道具と言えるでしょう。
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◆おまけ◆
私たちが理容学校で顔剃りを習った時は、日本剃刀を一本ずつ購入し
安定した刃の運行のために、剃刀を持つ手に碁石を乗せられて、それを落とさないように
小指だけで剃刀を裏返す・・・その名も【小指返し〜ショウシガエシ〜】!
秘技みたいな名前?の練習を繰り返して・・。
ちょっとでも揺れると碁石が落ちちゃって、もうっ、指がつりそうでした。
以前、よくお客様に聞かれたことがあります。
その昔大人気だったドリフターズのコントで、風船に泡をつけて
新米理容師に扮したカトちゃんたちがシェービングのまねをして剃り、
パンパン!と風船を割っていたのをご覧になった方もいると思いますが・・・
『実際の理容学校でも同じ練習をするの?』と。
答えは・・YES!・・・でもあんなには割ったりしませんよ〜!・・・たぶん。
ある程度練習すると、お互いの顔を剃って相モデルで訓練しました。
シェービングの練習が終わった時も、自分たちで買った砥石で研いで、手入れをしました!
理容師のタマゴたちがおっかなびっくり研いだカミソリの切れ味は・・・
ご想像にお任せしますが、・・・それはもう大変だった記憶が・・・。(^^;)
現在はほとんどカートリッジ式の替刃なので、研ぐ必要はありませんが
学校ではまだ研ぐことから教えているのかしら?
砥石で研いだあとは、なめし皮で仕上げをしますが、これは馬のお尻の皮だそうです。
私の父も仕事の終わりには、太いベルトのようなこの皮で
カミソリを「シュッ!シュッ!」と手入れしていたのも懐かしい思い出です。
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